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ヒットラー蘇生計画/Dr.フレデリックの復讐
FLESH FEAST
1970年
アメリカ映画
72分
この映画のラストは、もがき苦しむヒットラー総統を前に、復讐を果たしたDr.フレデリックの高笑いとともに幕を引く。
「どうしたの?手術が気に入らないの?・・・わかるわ、母もこれが大きいだったわ!
フフフッ・・・、アーハハハハハハハハハッ!・・・ヒットラー万歳!!」
・・・本作は、紛れもなく彼女のために捧げられた映画だと言えるだろう。
本作の公開から3年後、1973年7月7日にバーモント州バーリントンで彼女は息を引き取った。
長年飲み続けたアルコールが彼女の肝臓を蝕んでいたのだ。
享年53歳。
ハリウッド大通りには、往年のスター達とともに彼女の名が刻まれたプレートが今も残っている。
▲Veronica Lake
▲迫力のヴェロニカ・レイク。
(ちなみに接写シーン以外は、ウジ虫の代わりにお米を使っているとのこと。)
▲「志村!うしろー!」
FLESH FEAST
1970年
アメリカ映画
72分
〔監督〕ブラッド・F・グリンター
〔製作総指揮〕ヴェロニカ・レイク
〔製作総指揮〕ヴェロニカ・レイク
〔撮影〕トーマス・ケーシー
〔出演〕ヴェロニカ・レイク/フィル・フィルビン/ドーグ・フォスター
本作は、ある女優の生涯に残る映画である。
邦題に「ヒットラー蘇生計画」とあるが、これは間違い。
ヒットラー総統は生きていて、若返って第三帝国を復興するべく、シワ取りの整形手術を待っているという設定だ。
しかも、この総統閣下の登場は映画の重要なオチである。
ずーっと「指導者」とかなんとか濁して説明されていたが、最後の最後に、実はヒットラーでしたぁ!「ジャーーーン!」という物語の核心部分に当たるのである(←本当にジャーーーン!て鳴ります)
邦題に「ヒットラー蘇生計画」とあるが、これは間違い。
ヒットラー総統は生きていて、若返って第三帝国を復興するべく、シワ取りの整形手術を待っているという設定だ。
しかも、この総統閣下の登場は映画の重要なオチである。
ずーっと「指導者」とかなんとか濁して説明されていたが、最後の最後に、実はヒットラーでしたぁ!「ジャーーーン!」という物語の核心部分に当たるのである(←本当にジャーーーン!て鳴ります)
邦題でネタバレとは配給元も酷だなぁ。
さて、総統の執刀を担当するのは整形手術の権威である女医、Dr.フレデリック。
彼女の開発した治療法とは(明確な説明はないが)、どうやらウジ虫を利用し、老化した皮膚をウジ虫にペロッと食べてもらって、その後に皮膚を再形成してシワのないぴちぴちの肌に若返らせるというものらしい。
さて、総統の執刀を担当するのは整形手術の権威である女医、Dr.フレデリック。
彼女の開発した治療法とは(明確な説明はないが)、どうやらウジ虫を利用し、老化した皮膚をウジ虫にペロッと食べてもらって、その後に皮膚を再形成してシワのないぴちぴちの肌に若返らせるというものらしい。
蜂の毒を利用したアンチエイジングが実際にあるくらいだから「ウジ虫整形手術」も本当にありそうだなぁ、でもこのウジ虫君たちは、人肉しか食べない物騒な品種であるから大変だ。
そんなこんなで、Dr.フレデリックによって総統閣下のシワとり手術がはじまる。
…しかし様子がおかしい。
ウジ虫が総統閣下を食いはじめたではないか
(・・・らしいが、画的にはただ痛がっているだけにしか見えない)。
激痛に苦しむ総統閣下。そこでDr.フレデリックから衝撃の告白。
「私の母はナチスの人体実験よって殺された!せいぜい苦しむがいいわ!!」
邦題に「Dr.フレデリックの復讐」とあるが、まさにその通りであった。
こうしてヒットラーおじいちゃんは、顔に数匹のウジ虫をウヨウヨさせながらなんとなく死ぬのだった…。
おしまい。
・・・たったこれだけの映画である。
バブルじゃなかったら海を越えて日本にやってこなかっただろう
しかし、冒頭で触れたとおり、1人の女優の生涯に残る作品であることは間違いない。
その女優とは、Dr.フレデリックを演じる役者。
往年のスター、ヴェロニカ・レイクのことである。
『奥さま魔女』(1942)など、そのミステリアスな美貌で人々を虜にしていた彼女。
今でも美女として語り継がれる彼女が、マッドドクターに扮し、眉を吊り上げ、歯ぐきをむき出し独白する姿は圧巻だ。
1940年代に、数多くの作品に出演し、妖艶な魅力で一世を風靡したヴェロニカ・レイク
しかし、1950年代後半からは出演作も途絶え、晩年の彼女はアルコールに依存していった。
ホテルに住みながらバーで働く彼女の姿が目撃されたこともあったという。
そんな窮状を聞きつけた、元恋人のマーロン・ブランドが彼女に1000ドルの小切手を送ったという逸話も残っている。
彼女は大女優としての威厳から、決してその小切手を換金しなかったそうだ。
しかし、一方でその小切手を額縁に入れて自宅に飾っていたとも言われる・・・それはマーロン・ブランドとの友情の証を大切にしたいためなのか、それとも華やかなりしスター時代の余韻に少しでも浸るためだったのか・・・。
そんなヴェロニカ・レイクが50歳の時、1970年に公開された映画が本作である。
しかも出演にとどまらず、彼女自身が製作総指揮も行っているというから、本作への意欲は相当なものだったことが伺える。
だが、どうだろう。出来栄えを見る限り、お世辞にも傑作とは言えないどころか、完全なる駄作じゃないか。
彼女の華々しい出演歴に泥を塗るような映画である。
何がヴェロニカに起こったか?
しかし当のヴェロニカ・レイクは本作公開の3年後に他界してしまう。
そう、ヴェロニカにとって、この映画は遺作にあたるのだ。
ひょっとしたら彼女は自分の死期を悟っていたのかも知れない・・・。
一線を退いた女優が主役を張れる舞台は、もはや低予算映画のマッドドクターしかなかったのだろう。
そのなかでも彼女はベストを尽くし、生涯最後に女優としての魂を、銀幕に叩きつけたのだ。
確かに本作は、掃いて捨てるようなでC級映画である。
しかし、一人の女優の歴史をしめくくる、とても重要な映画だ。
そんなこんなで、Dr.フレデリックによって総統閣下のシワとり手術がはじまる。
…しかし様子がおかしい。
ウジ虫が総統閣下を食いはじめたではないか
(・・・らしいが、画的にはただ痛がっているだけにしか見えない)。
激痛に苦しむ総統閣下。そこでDr.フレデリックから衝撃の告白。
「私の母はナチスの人体実験よって殺された!せいぜい苦しむがいいわ!!」
邦題に「Dr.フレデリックの復讐」とあるが、まさにその通りであった。
こうしてヒットラーおじいちゃんは、顔に数匹のウジ虫をウヨウヨさせながらなんとなく死ぬのだった…。
おしまい。
・・・たったこれだけの映画である。
バブルじゃなかったら海を越えて日本にやってこなかっただろう
しかし、冒頭で触れたとおり、1人の女優の生涯に残る作品であることは間違いない。
その女優とは、Dr.フレデリックを演じる役者。
往年のスター、ヴェロニカ・レイクのことである。
『奥さま魔女』(1942)など、そのミステリアスな美貌で人々を虜にしていた彼女。
今でも美女として語り継がれる彼女が、マッドドクターに扮し、眉を吊り上げ、歯ぐきをむき出し独白する姿は圧巻だ。
1940年代に、数多くの作品に出演し、妖艶な魅力で一世を風靡したヴェロニカ・レイク
ホテルに住みながらバーで働く彼女の姿が目撃されたこともあったという。
そんな窮状を聞きつけた、元恋人のマーロン・ブランドが彼女に1000ドルの小切手を送ったという逸話も残っている。
彼女は大女優としての威厳から、決してその小切手を換金しなかったそうだ。
しかし、一方でその小切手を額縁に入れて自宅に飾っていたとも言われる・・・それはマーロン・ブランドとの友情の証を大切にしたいためなのか、それとも華やかなりしスター時代の余韻に少しでも浸るためだったのか・・・。
そんなヴェロニカ・レイクが50歳の時、1970年に公開された映画が本作である。
しかも出演にとどまらず、彼女自身が製作総指揮も行っているというから、本作への意欲は相当なものだったことが伺える。
だが、どうだろう。出来栄えを見る限り、お世辞にも傑作とは言えないどころか、完全なる駄作じゃないか。
彼女の華々しい出演歴に泥を塗るような映画である。
何がヴェロニカに起こったか?
しかし当のヴェロニカ・レイクは本作公開の3年後に他界してしまう。
そう、ヴェロニカにとって、この映画は遺作にあたるのだ。
ひょっとしたら彼女は自分の死期を悟っていたのかも知れない・・・。
一線を退いた女優が主役を張れる舞台は、もはや低予算映画のマッドドクターしかなかったのだろう。
そのなかでも彼女はベストを尽くし、生涯最後に女優としての魂を、銀幕に叩きつけたのだ。
確かに本作は、掃いて捨てるようなでC級映画である。
しかし、一人の女優の歴史をしめくくる、とても重要な映画だ。
この映画のラストは、もがき苦しむヒットラー総統を前に、復讐を果たしたDr.フレデリックの高笑いとともに幕を引く。
「どうしたの?手術が気に入らないの?・・・わかるわ、母もこれが大きいだったわ!
フフフッ・・・、アーハハハハハハハハハッ!・・・ヒットラー万歳!!」
・・・本作は、紛れもなく彼女のために捧げられた映画だと言えるだろう。
本作の公開から3年後、1973年7月7日にバーモント州バーリントンで彼女は息を引き取った。
長年飲み続けたアルコールが彼女の肝臓を蝕んでいたのだ。
享年53歳。
ハリウッド大通りには、往年のスター達とともに彼女の名が刻まれたプレートが今も残っている。
▲Veronica Lake
▲迫力のヴェロニカ・レイク。
(ちなみに接写シーン以外は、ウジ虫の代わりにお米を使っているとのこと。)
▲「志村!うしろー!」
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ネタバレ、下品な表現があります。
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