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THE AMBULANCE
1990年
アメリカ映画
98分
都会を暗躍する、人さらい救急車。その謎を追うサスペンス・アクションである。
脚本監督はラリー・コーエン。
人々を救うはずのものが、その逆に牙をむいたら…という発想は、警察官が不死身の殺人鬼となる『マニアック・コップ』(コーエン脚本製作)にも通じている。
本作の公開と同年に『マニアック・コップ2』も公開されいていることから、「殺人鬼警官が売れたんやから次は殺人救急車やるで。」…となっていたのかもしれない。
しかし、さすがはコーエン。着想は同じでも、殺人鬼ものホラーだった『マニアック・コップ』対し、本作は組織ぐるみの誘拐&人体実験の謎を追う。という新たな切り口で楽しませてくれる。
また、本作も『マニアック・コップ』と同様に、人々や警察に気付かれないように敵が暗躍し、真実を知っている主人公が誰からも信じてもらえない…というモヤモヤ歯がゆい構図は健在だ。
結構大胆なことをする敵だが、いともたやすく市民や警察を欺く姿を観てると「なんでこんなムチャしてバレないの?」と思わずツッコミたくなるシーンも満載である。
しかし、演出全般はコーエンらしく手堅く固められており、テンポ良く楽しめる作品である。
さて、本作の中での一番のお気に入りは、黒人の警部が殺されるシーンである。
この警部、いっつもガムをクチャクチャ噛んでるという設定。
そんな彼が、殺人救急車を発見し車で追うのだが、カーチェイス中にアホほどガムを口に放り込む。
「ガムはいいから運転に集中してよ!」などと思った瞬間、すでにコーエンの魔術にかかっているのだ。
チェイスの末、殺人救急車を止めさせた警部。
しかし!スキを突かれて救急隊員にメスで腹を刺されてしまう!
・・・がしかし!彼はガムを噛むのをやめないだ。
さらに出し抜けに救急車で思いっきりはねられちゃう警部。
でもやっぱりガムをクチャクチャ。
しかし、それも徐々に弱まってきて
「クチャ、クチャ…クチャ………ク…チャ……………………(死亡)」
なんじゃそりゃ(笑)!
こんな風にガムを噛むのが止まっていく過程で、人間の生命がこと切れる瞬間を描いた変態的演出に喝采を送りたい。
いや素晴らしい!この演出は本当に素晴らしい!
僕ぁ、このシーンを観れただけで大満足である。
▲ガム警部の最期